中国法ブログ

中国法務の基礎的な事項から最新の情報まで解説するブログ

中国での言語

さて、あまり中国法務とは関係がありませんが、中国における公用語は何でしょうか。

もちろん、中国語、なのですが、実は中国語というと若干正確ではなく、「普通語」が公用語になります。しかし、「普通語」って何?中国語じゃないの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。

中国の国土面積(陸地面積)は約960万平方キロメートル(日本の国土面積は約38万平方キロメートル)と、世界第4位の広さを誇っており、2019年末時点における中国大陸内の中国人の人口は、14億5万人(海外、香港、澳門、台湾の華僑を除く)にのぼっています*1

そして、現時点で公表されている中国政府の統計によれば、中国国内には56の民族が存在しており、そのために地域、民族ごとに多岐に渡る言語が使用されています。中国政府のウェブサイト上の説明では、①官話語(北方語)、②晋語、③呉語、④徽語、⑤閩語、⑥粤語、⑦客家語、⑧贛語、⑨湘語、⑩平話土話、の合計10の方言が存在しているようです*2

方言の種類としては7種類と分けられることもあるみたいですが、詳細は以下の記事が詳しいです。

cn-seminar.com


このように、一口に中国と言っても、国土の広さ、人口・民族・言語の種類の多さから、「中国語」とひとくくりにすることができないのです。

そのような中で、中国では、北方語の語音をもって「普通語」の標準音とし、また、北方語をもって「普通語」の基礎方言とすることとされ、これを前提として、憲法及び法律により、「普通語」をもって全国通用語、公用語と定められています(政府の報道官や、国営ニュースのアナウンサーなどが話す中国語は極めて標準的な発音、普通語と言われています)。

他方で、上海の人がしゃべるような上海語(呉語)、香港の人がしゃべるような広東語(粤語)は、普通語とは発音が程遠く、普通語が分かってもこれらの方言で話されると全く何を言っているかわからない、ということもあります(東京弁大阪弁くらいの違いかと聞かれることがありますが、極端にいってしまえば日本語と韓国語くらいの違いがあると思います)。

北方語以外の方言を母語とする中国人は、学校教育課程において「普通語」を学習する授業を受けることで、「普通語」を身につけるようです。