日本から中国への渡航、そして隔離(上海編)
昨年12月末に日本に帰国し、2ヶ月弱日本での滞在をした後、2月14日に中国に再帰国を果たしました。今回は、前回の大連ではなく上海へ直接の帰国となりました。
前回中国へ帰国した2020年9月時点と、2021年2月時点では中国への渡航に関する条件も若干変わっていますし、大連と上海とでも異なる部分も少なからずありますので、今回は日本から上海への渡航、及びその後の隔離状況についてアップデートしたいと思います。
上海へ駐在、出張でいらっしゃる方は依然少なからずいらっしゃいますので、今後上海へ渡航される方のご参考になれば幸いです。
(2020年9月東京→大連)
chinalaw.hatenablog.com
(2020年12月上海→東京)
chinalaw.hatenablog.com
1 成田空港→浦東空港
1-1 チェックイン
現在、東京⇔上海間の直行便は週4便飛んでいますが、チケットが購入可能だったのは、毎週日曜日に飛んでいる全日空と春秋航空の2社のみでした。その中でも全日空はエコノミークラスでも片道20万円近くしてあまりに髙いので、多少でも安い春秋航空で帰ることにしました。それでも自分がチケットを購入した時には10万円近くしましたので、普段は数万円で往復できる春秋航空からすると、やはり超高額な価格といえます。
(日中間の航空便の状況はこちらにてご確認ください。)
(以下日本時間)17時00分 チェックイン
春秋航空は成田空港のターミナル3からの出発になります。
成田空港のターミナル3には初めて来たのですが、LCC専用ターミナルということもあり想定以上にプレハブ感があり、ターミナル1、2との格差に面食らってしまいました。
春秋航空は20時に出発予定でしたので、18時に到着しましたが、到着した頃には、チェックインカウンターには思いの外長い行列が出来ていました。
聞こえてくる言葉は中国語ばかりで、搭乗客の大半は中国の方、日本の方はかなり少数だったのではないかと思います。日本の方はもしかしたら昼間に飛んでいる全日空の方に多く乗っているのかもしれません。
この日は、クレーマーがチェックインカウンターの一つを占領してスタッフと口論を続けていたこともあり、チェックインの行列はなかなか進みませんでした。何を揉めていたのかはわかりませんが、おそらく手荷物のチェックインで発生する追加料金に関してだったのではないかと思います。LCCは手荷物を預ける場合、追加料金が発生することが多いので要注意です。
結局、自分がチェックイン出来たのは18時50分頃と、かなり時間がかかってしまいました。なお、春秋航空の手荷物預けで追加料金が発生した場合、支払いは現金のみでクレジットカードや銀聯カードを使用することはできません。チェックインカウンターの近くにはATMが設置されていますので、追加料金が発生し、手持ちの現金が足りない場合にはATMでお金を引き下ろす等する必要があります。この点も要注意です。
また、チェックインを完了するにあたっては、
の2つのQRコードを入手していることが必要になります(中国税関QRコードについてはこちら)。
1-1-1 健康コード
2020年12月1日以降、日本から中国へ直行便で渡航する場合にも、中国大使館の発行する健康コードを入手することが必要となりました(中国大使館のHPはこちら)。
健康コードを入手するには、搭乗2日以内に在日中国大使館の指定する医療機関、クリニックにおいてダブル陰性証明、すなわちPCR検査及び抗体検査での陰性を証明する書類を作成してもらうことが必要となっています。
私の場合は搭乗日が日曜日でしたので、金曜日にPCR検査、抗体検査を受けることとしました。大使館によって指定されている医療機関、クリニックはかなりたくさんあるので、基本的には最寄りの医療機関等で対応すれば良いといえます。
多くの医療機関等においては、1日~2日以内での証明書発行をしてくれますが、医療機関によっては、翌日の証明書発行が困難で、且つ翌々日は営業していない、というところもあります。どういうことかというと、
金曜日に検査に行った場合、翌日土曜日の証明書発行が間に合わず、且つ、(搭乗日である)日曜日は営業していないため、日曜日までに証明書の取得が間に合わない
というところもあります。これは、日曜日搭乗及び搭乗2日以内の証明書取得という時間的制約による不都合ではありますが、そのため、日曜日に搭乗する方は可能な限り、即日又は翌日に証明書の発行を確約してもらえる医療機関等を選択することをおすすめします。なお、私が検査を行ったクリニックでの検査費用は約4万円かかり、かなり高額な印象を受けました。他の医療機関やクリニックはわかりませんが、ここでも相応の出費をする覚悟をする必要があります。
ダブル陰性証明を入手した後、中国大使館上のHP上に掲載されているウェブサイトへアクセスし、健康コードの申請をします。
健康コードの申請においては、身分証(中国籍以外であればパスポート)及びダブル陰性証明の画像をアップロードすることが必要になります。なお、上記申請画面はスマートフォン及びPCのいずれからもアクセスできますが、私の場合スマートフォンでアクセスしたところ、上記の画像をアップロードすることができなかったため、やむなくPCからアクセスしました。
上記の申請をしたのは、土曜日で且つ春節期間中ではありましたが、3時間後くらいには申請は完了し、以下のような健康コードが発行されていました。
1-1-2 ビジネストラック、レジデンストラック
なお、2020年11月末日より実施されていた日中間のビジネストラック、レジデンストラックについては、日本の緊急事態宣言が発せられたことに伴い、2021年1月14日以降停止しており、利用不可となっています(詳細はこちら)。
1-2 搭乗
ターミナル3にはローソンがありますので、搭乗前に軽食や飲み物を購入したい場合にはここで購入しておくことをおすすめします。ちなみにフードコート、レストランは軒並み閉店していました。
19時30分 搭乗開始
ほぼ時間通りに搭乗開始となりました。
搭乗率はどれくらいかはわかりませんが、私の座った3人がけの席は真ん中が空席になっており、全体的にも満席というほどではなく、8~9割くらいだったのではないかと思います。今回もやはり防護服、マスク、フェイスシールドのフル装備をした中国人の方を見かけました。意識高いですね。
春秋航空は過去に一度搭乗したことがあり、夜間飛行にもかかわらず、飛行中のアナウンスがかなりうるさかった印象がありますが、今回のフライトはほとんどアナウンスもなく、基本的に消灯されていましたので比較的穏やかに過ごせたように思います。ちなみに、LCCですので機内食等は出ません。
1-3 着陸後
(以下中国時間)22時30分~23時05分 着陸~降機
ほぼ予定到着時刻に到着しました。ただ、飛行機から降りられるまでは若干時間がかかり、30分強機内で待たされていました。
23時25分 健康申告
飛行場内に設けられたブースにて、税関職員に健康状態の申告をします。なお、大連の飛行場での申告の際は、日本語対応可能な職員もそれなりにいたような気がしますが、乗客の多くが中国の方ということもあってか、空港職員の日本語対応はほとんどなかったのではないかと思います。
日中の全日空便のラウンドはもしかすると異なるかもしれませんが、もし中国語に不安のある方は、予め通訳が可能な方と電話やチャットで対応できる連絡体制をとっておいた方が良いかもしれません(あるいは英語で話す)。
なお、この際に中国税関の健康申告QRコードが必要になります。
23時35分 PCR検査
健康申告ブースでの申告を済ますとPCR検査です。
随分と長い導線を歩かされ、屋外のプレハブに設置されたブースでPCR検査を受けることになります。PCR検査は綿棒を鼻に突っ込むタイプのものを2回やられます。
大連ではPCR検査をする際に、それまで着けていたマスクを廃棄し、N95タイプのマスクを着けさせられましたが、ここではそのようなことは特にありませんでした。
23時43分 入国審査
PCR検査を受け終わると入国審査です。入国審査手続き自体は特段変わったことはありませんでした。入国を済ませると、荷物をピックアップし出口へ向かいます。
0時02分 旅客情報登録
手荷物を受け取り外に出ると、今度は旅客情報登録をすることになります。
これは健康コードや健康申告QRコードとはまた異なるもので、隔離先のホテルに移動する際に必要となるQRコードを入手するための情報入力になります。
上記のQRコードを入手した後、今度は目的地となる区あるいは住居のある区ごとにブースが設置されており、そこでの登録を行うことになります。
1時00分~1時40分 隔離先ホテルへ移動
上記のブースで登録を済ませた後、40分~50分待たされ、深夜1時頃に飛行場を出発することになりました。その間、全くやることがありませんし、体内時計は朝の2時ですのでかなり眠いです。その意味でも春秋航空での渡航はかなりしんどいです。お財布が許すあるいは会社持ちの場合には、日中の全日空に乗った方が良いと思います。
同じ隔離先へ向かうのは自分を含め3名のみでしたが、大型バスに乗り込み、40分ほど移動しました。隔離先のホテルまで公安のパトカーが先導していたのですが、なかなか厳格だと思いました。
ホテルに到着し、バスから荷物を下ろすとまずは問答無用でトランクの消毒をされ、ホテルの入居手続きです。
2 集中隔離
2-1 入居
今回、私が隔離されたホテルは虹橋空港に近いSKY BIRD HOTEL(嘉虹酒店)というホテルでした。滞在費用は、三食込み14日間で5180元(滞在中の検査費用除く)です。
ホテル自体は異様にスタイリッシュ感があり、キレイではあるのですが部屋は狭いです。
そして何より辛いのは、
外がほとんど見えない
ということ。
窓こそ付いているものの、向かいの建物の壁しか見えず、なおかつ向かいも窓ですので、こちらのブラインドを上げればこちら側も向こうから丸見えということでブラインドを上げるに上げられないという難点があります。しかも、ブラインドの遮光性が極めて良いため、ブラインドを締め切って寝ると朝になっても日光が差し込まず、暗闇の中目を覚ますことになります。連日暗闇の中で目を覚ますのはなかなかにしんどいものがあります。
大連での隔離先ホテルからは、大きな窓から市街の町並みを見下ろすことが出来たのと比較すると、心理的圧迫感はそれなりのものです。
大連での隔離先ホテルの滞在費用は7000元強で、値段だけでいえば今回のホテルより高いのですが、広さが2倍以上あった上に眺望が良かったことと比較すると今回のホテルの方が割高感はあります。
2-1-1 7+7政策
上海市では、他の都市と異なり7日間ホテルでの集中隔離を行い、その時点での異常がなければ残りの7日間は自宅で隔離をすることができるという政策が施行されています。
しかし、2020年11月以降、上海市内における市中感染と見られる例が見られ始めたことを受け、現在では上記の政策に基づく申請をしてもほとんど認められていないということです(上海日本総領事館の注意喚起はこちら)。
私自身も1週間で自宅に帰れることを期待して申請をしましたが、申請は認められず、結局2週間のホテル隔離を余儀なくされました。そのため、上海市内にご自宅がある方についても2週間のホテル隔離を想定した上で渡航することをおすすめします。
また、高齢者、妊婦、幼児がおり、ホテルでの集中隔離に適しない場合も、従前は初日のみホテル隔離を行い、その後自宅隔離をすることが認められていましたが、現在はこれについてもほとんど申請が認められていないということです。そのため、今後このような方、特に幼いお子様を連れての渡航を検討されている方は要注意です。
2-2 食事
食事は、1日3回朝の8時頃、昼の11時頃、夕方の17時頃にお弁当が配給されます。
食事の内容は、大連と同様
三食オール中華
です。
味は悪いとは言いませんが、喜んで食べられるような代物でもありませんし、やはり飽きます。
また、これはホテルによっても違いはありそうですが、今回のホテルについては食事の外売を頼むことができません(真空包装されているビスケット類、お菓子、カップ麺など、乾き物については良いそうです)。そのため、やはり食事対策という意味では渡航前に14日の隔離期間中の食料、飲料を持ち込むことをおすすめします。
ホテルは基本的にポットはあるものの、レンジはありませんので、食料を持ち込むにしてもお湯を沸かして食べられる麺類、スープ類が良いです。レンジで温める系統の食料は基本的に食べられません。
飲料は大連の時と同様、2週間分のペットボトル入り飲料水が、2週間分の日用品(洗顔料やシャンプー、トイレットペーパー等)と一緒に部屋に置かれています。酒類の外売もオーダー不可とされていますので、お酒好きな方は自らお酒を持ち込む等する必要があります。
2-3 検温等
入居の翌日には、ホテルに駐在している医療団と隔離対象者のWe Chatのグループチャットが作成され、そこで必要な連絡を取り合うことになります。
そして、毎日朝と昼間に自身で検温を行い、グループチャットの中で報告することになります。また、毎朝9時半~10時頃にスタッフが検温をしにきます。大連では検温の仕方がわからず、特段報告もしていませんでしたし、スタッフによる検温もありませんでしたが、その意味では今回はきちんと検温をしているといえます。
なお、大連では隔離期間中に抗体検査とPCR検査を行いましたが、今回は隔離終了前日の13日目にPCR検査のみを行うということです。費用は80元です。
3 終わりに
今回、隔離を開始したのが夜中の2時頃でしたが、隔離終了は隔離開始から14日ということなので、同じく真夜中ということになります。真夜中の帰宅が辛い場合には延泊してチェックアウトの時間をずらすことができるということではありますが、個人的には1秒でも早くホテルから出たいので、恐らく真夜中のチェックアウトをすることになるかと思います。
世界的なコロナ感染状況が昨年9月の時点よりも悪化しているということもあり、諸々制約が厳しくなっているように思いますが、今回の記事がこれから上海へ渡航することを予定している方のご参考になればと思います。
※2021年3月1日アップデート
2021年3月1日付けで在日中国大使館のHPにおいて、日本から中国への渡航に関する要求事項がアップデートされています。
まず、これまで第三国から日本で乗り継ぎして中国へ渡航する場合の対応方法については明記されていませんでしたが、日本で乗り継ぎをする場合には、日本にて14日間の自主隔離をし、健康コードを取得した上で中国に渡航することが明記されました。
それに加えて、万が一コロナウイルスに感染してしまった場合の健康コードの申請方法が新たに追記されています。具体的には以下のとおりです。
- 居住地の病院で肺のCT検査またはX線検査を行い、診断証明書(肺に異常なしまたはコロナ感染が完治していると記載)及び、2回のPCR検査を行い(検査日時は24時間以上空けること)、陰性証明書を提出すること。
- 上記1の後、少なくとも14日間は自主隔離をし、健康状態に異常がないことをご確認の上、「自主隔離承諾書」にサインして提出すること。
- 搭乗2日前以内(検体採取日から起算)に中国駐日本大使館・総領事館指定の検査機関で新型コロナウィルスPCR検査及び血清特異性IgM抗体検査を行い、ダブル陰性証明を取得して提出すること。
以上の次第で、健康コードの申請要件が格段に厳しくなっているうえ、渡航できるまでに必要な日数がかなり発生することになります(検査費用もかさみそうですね)。
そのほか、ワクチン接種によって抗体検査が陽性になった場合には、健康コードを申請する際に検査証明とワクチン接種証明書を提出することで救済される旨も記載されています。
※2021年3月30日アップデート
2021年3月30日付けで在日中国大使館のHPにおいて、日本から中国への渡航に関する要求事項がアップデートされています。
3月1日付での通知に比べ、中国渡航時に必要な書類がより詳細に記載されています。