日本から中国への渡航、そして隔離(大連編)
筆者は、今年の1月の春節前に日本に帰国しておりましたが、その後中国での新型コロナウイルスの爆発的な流行もあり、暫くは中国への帰国を見送っておりました。
しかし、その後中国での流行状況が落ち着き始めるや日本での流行が増加傾向となり、3月には当時有効に保有していた居留許可の効力が停止され、日中間の航空便も大幅に制限されるなどし、中国に帰国することが非常に困難となりました。そして、日本の緊急事態宣言が出されたことを受け、在日中国大使館及び中国ビザセンターも休館となったことで、ビザの発行が停止し、事実上中国に戻ることが不可能となりました。
その後、6月頃に中国ビザセンターが部分的に業務を再開したことを受け、中国国内での招聘状を取得の上、改めてビザの申請を行い、今般9月8日に中国に帰国しました。
現在大連のホテルにて集中隔離中となっておりますが、今回は、帰国当日から今日までの記録を残したいと思います。
これから日本から中国へいらっしゃる方の参考になればと思います。
1 品川⇒成田
これまでであれば当たり前のように羽田から上海に飛ぶ飛行機で行き来をしていましたが、現在、依然として日中間の航空便は大幅な便数制限がなされており、現在、関東の方から中国へ飛ぶ飛行機はいずれも成田発のもののみとなっており、羽田から中国へ飛ぶことはできません。
これまでも成田から中国に帰ることは時折ありましたが、その時には大体1000円での高速バスに乗って成田空港まで行っていました。しかし、現在その1000円バスも軒並み運航を中止しておりバス移動はできません。そのため、今回の空港までの移動は成田エクスプレスに乗らざるを得ませんでした。
9月8日6時47分
品川駅で日本に置いていく家族と泣く泣く別れ、一人成田エクスプレスに乗車。
しかし、見事なまでにガラガラで、私の乗っていた車両には他の乗客は1名ほどしか乗っていませんでした。
9月8日7時53分
時刻通りに成田空港に到着し、JALのチェックインカウンターに向かうと、同じJAL829便で大連に向かうと思わしき人が20人ほど列を作っていました。
列に並ぼうとすると、JALの職員からスマホに中国税関アプリをダウンロードし、健康情報の記入を求められます。ガラケー派の人ですとこの時点で中国には行けませんね。問答無用でスマホがあることが前提の話となっています。
アプリをインストール、起動し、色々な情報を入力していくわけですが、その内容としては以下のような感じです。
きちんと座席まで入力する必要があります。
これらの情報を入力し終えて、報告を提出すると以下のようなQRコードが発行されます。
日本を発っていない間も、チェックイン及び飛行機の搭乗にあたって、当該QRコード画面を提示することが求められるため、この画面はスクリーンショットをしておくことが推奨されます。
チェックインを済ませてあたりを見回してみると、旅客はほとんどいない閑散とした状況でした。
※なお、私が帰国する際は不要でしたが、9月9日に在日中国大使館が出した通知によると、9月25日以降に日本から中国に直行する飛行機に搭乗する場合にも、予めPCRの陰性結果証明を提示しなければならないことになっていますので、9月25日以降に中国へ渡航される方はご注意ください(詳しくはこちら)。
2 成田⇒大連周水子空港
9月8日9時15分
9時15分搭乗開始ということなので搭乗ゲートへ向かうと、想像を超える人だかり。大多数が中国人の方でしたが、多くの人がマスクに加え、フェイスマスク、手袋も装備していましたし、少なくない人が防護服まで装着していました。
この辺は、さすが中国人と感心してしまいました。
9月8日10時10分~(以下、中国時間)11時30分
飛行機はほぼ定刻通りに出発し、ほぼ定刻通りに着陸しました。さすがJAL。
機内はそれなりの人が乗っていましたが、満席とまではいかず、空席もそれなりにポツポツと見られました(自分の隣の席も幸い空席でした)。
機内食は簡素で、中国の国内線に乗ってると出てきそうな感じのものが提供されました。
フライト中は映画「JOKER」を見ていましたが、朝も早かったので途中で寝てしまいました。。そうこうしているうちに着陸。大連は、中国に赴任してから1度出張で来て以来で、かなり久々。
着陸後、機内に防護服を着た税関職員が搭乗してきて、一部の座席に座っている人を呼び出して飛行機から下ろしていました。その理由はちょっとよく分かっていませんが、その人達が下ろされた後、全乗客が飛行機から降りることになりました。
機体が着陸してから飛行機を降りるまでは約20分程度で、もっと待たされるのかと思っていたので意外と早く降りれたという印象。
3 大連周水子空港⇒大連昱聖苑国際酒店
9月8日11時47分~12時50分(飛行機降りてからPCR検査完了まで)
飛行機を降りると、健康申告エリアに並ばされます。
この行列の先に設置されているブースにて、健康状態等を尋ねられます。もっとも、結構ザルで、過去2週間どこにいたか、病院に行ったか、発熱はないか、近しい人でコロナかかった人いるか、などなどの質問を聞かれる程度です。
なお、日本人が搭乗している便ということもあり、職員の中には日本語を喋っている人も複数いたように思います。
ブースでの問診が終わると、次はPCR検査を受けることになります。PCR検査は、鼻に細い綿棒のようなものを突っ込まれ、口内の唾液を採取され、ものの5分程度で終了します。その際に、着用していたマスクを破棄し、N95を着用するように指示されます。そのため、私は前日に買ったばかりのエアリズムマスクの1枚が早々に犠牲となってしまいました…
そのため、中国に来る際は、(十分なストックがある方を除き)繰り返し利用可能な布マスクではなく、使い捨てマスクを着用することをお勧めします。
なお、PCR検査の結果がいつ頃どのように通知されるかなどといったことは、特に聞かなければ教えられません。私も特にそのようなことは確認していませんでしたが、到着当日の夜にホテルの責任者から教えてもらいました。
9月8日12時50分~13時17分(入国審査からホテル振り分けまで)
PCR検査が終了すると入国審査です。
中国に入国するにあたっては、普通黄色い入国カードに必要情報を記入するのですが、今回はそれに加えて、
- 隔離期間後、遼寧省を出る予定の有無
- 北京に行く予定の有無
- 最終目的地
- 隔離後の旅程
- 国内にいる連絡者
などといった事項についても記載することが求められました。税関アプリでも、国内の連絡者の記載が求められましたが、正直言って国内にそのような人は特にいませんので、この辺は適当に書いて済ませました。
入国審査を終えると、消毒のされたスーツケースがずらりと並べられており、そこから自分のものをピックアップし出口へ向かいます。
もっとも、すぐに外に出られるわけではなく、外国人については、別途特設ブースにてパスポートの提示のほか、中国国内の目的地情報等を改めて記入させられることになります。この時にいた外国人はほとんど日本人でしたので、税関の職員も日本語が結構上手でした。
この手続きが終わった人から順に集中隔離用ホテルに移動させられることになります。
ホテルへの移動は、少人数でのマイクロバスでの移動になります、自分が乗ったマイクロバスには全部で6人の日本人(自分含む)と運転手のみでした。マイクロバスに、スーツケースを持ち込まなければならないというのが面倒ではありましたが、少人数だけに空間に余裕はあり、ソーシャルディスタンスは保たれていました。
4 大連昱聖苑国際酒店
9月8日14時10分
マイクロバスで約20分強移動し、大連昱聖苑国際酒店に到着。バスから降りた時は午後の暑い時間帯のはずでしたが、涼しい秋風が吹いていて、涼しく感じました。
大連での外国人向けの集中隔離用ホテルは現在2件で、自分の宿泊している大連昱聖苑国際酒店と大連聖汐湾酒店だそうです。後者は見たところリゾートホテルっぽい感じですね。ちなみに、私と同日で同じホテルに宿泊した外国人は26名とのことでした。
※以下の内容は、いずれも大連昱聖苑国際酒店に関する情報となりますのでご注意ください。
費用
ホテルに到着するとチェックインすることになり、そこで14日分の宿泊費と隔離期間中の2回の検査(抗体検査とPCR検査)の費用を一括前払いすることになります。自分の宿泊している大連昱聖苑国際酒店は、一応、スイートルームとシングルルームorツインルームが選択できるらしいのですが、生憎当日はツインルームしか空きがないとのこと。
宿泊費は、3食の食費込みで550元/日(約8500円)で(なお、スイートルームは700元/日)、検査費は抗体検査が94元、PCR検査が95元で、合計7,889元を一括前払いしたことになります。
支払いはアリペイ、We Chatペイはもちろん、クレジットカードも使えますので、人民元が足りない方はクレジットカードでの支払いでも大丈夫そうです。
なお、これらの費用を会社精算するにあたっては、領収書(中国語で「発票」)を入手する必要がありますが、宿泊費については、増値税控除のできない普通発票のみ、検査費については個人宛の発票しか発行できないということになっているようですので、会社での費用精算をする場合には、事前に経理の方に一言言っておいた方がよいかと思います。
部屋
部屋は、一人で住むには広すぎるくらいの部屋でした。めちゃめちゃ綺麗というわけではありませんが、十分に清潔な部屋でした(但し、14日間一切清掃が入りませんので、その点は考え物です)。
WiFiも基本的には問題なく、部屋にこもって仕事をする、家族とWe Chatで通話するなどという面では特に困りませんでした。もっとも、やはり中国、VPNを経由しないとYou TubeやAmazon Primeなど見れませんし、VPNを経由しても極端に通信速度が遅くて映画や動画を見るにはイライラします。日本での生活に慣れると、この中国のグレートファイアーウォールは本当に鬱陶しく感じますが、仕方ないですね。
食事
食事は基本的にホテルから配給されるもののみで、大衆点評等の出前アプリを使って出前を頼むことはできません(ただ、We Chatを通じてホテルの責任者に飲み物や食べ物、お酒等を買ってきてもらうことは可能)。
食事は、朝、昼、晩の三食が出て、朝が7時、昼が11時、夜が17時にそれぞれ配給されます。配給されるのはお弁当で、時間になると、部屋の外に置かれた椅子の上にお弁当が置かれています。
食事は、3食どれもこれもがっつり中華です。
隔離二日目に出た食事はこんな感じ。
続く三日目はこんな感じ。
1日目、2日目くらいまではよかったのですが、3日も過ぎるとさすがに飽きてくる上に、どれもこれも油っぽいので胃がどんどん重くなってきます。なおかつ、基本的に部屋の中にいても一日中座って仕事してるか動画見てるかで、ほとんど動きませんので、3食きっちり食べてると多分、あっという間に太ります。
そのため、中華ウェルカムという方であっても、日本からいらっしゃる際には、何等かインスタント類の食糧を持参して、たまにインスタント類を挟むことをお勧めします。また、お菓子類も基本的に出てきませんし、ホテル経由でしか入手ができませんので、甘いものが嫌いという方以外は、一定程度の量のお菓子を一緒に持ってくることをお勧めします。
また、飲み物については、ホテル到着の翌日にペットボトルの水をどさっと渡される以外は、お弁当にたまについてくるジュース程度しかありません。ただただ水を飲んでるのも飽きるので、麦茶パックやポカリ(粉)等を持ってくるとか、お酒が好きな方はお酒も多少持ってくると良いかもしれません。
日用品等
到着翌日に、隔離期間中のトイレットペーパーやスリッパ、アメニティがどっさり配給されます。
が、それ以外には特にありません。
ランドリーサービスもありませんので、隔離期間中の洗濯物は自分でする必要があります。そのため、個包装の洗剤を一定数持参すると良いかと思います。自分は個包装のアタック0を持ってきました。
また、ずっとホテルのアメニティのシャンプー類を使うのも嫌でしたので、シャンプーやボディソープも持ってこようと思っていましたが、個別に持ってくると重くなるので薬局で見つけたこんなものを持ってきました。最近は色々便利になったものです。
その他
一応、毎日9時と15時に体温を測って、We Chatでホテルの責任者に報告しなければならないことになっているのですが、そもそも体温計を持っていません。そのため、体温計をよこすようにホテルの責任者に連絡したのですが、全然届きませんでした。
その間、体温測っていないわけですが大丈夫なんですかとWe Chatで聞くと、
「大丈夫、自分的に正常でしょ?」
という、急に雑な感じに。
こういうなんか雑なところが中国っぽくて好きです。
そして、一応届けられた体温計らしきものがこちら↓
体温計の先端をつまんでも何をしても何の変化も見られず、結果使い方が分からないということで体温を測ることは諦めました…(その後も特に何も言われてませんし)
そんな感じで、厳格さと雑さの入り乱れる中国感を、久々に身をもって体験している状況です。
5 まとめ
そんなこんなで、9月8日から始まった隔離生活は、9月22日の午前9時半まで続くことになります。
まだ折り返しにも到達しておりませんが、今のところ平日は普通に仕事に忙殺されていたり、隙間時間は家族とビデオ通話したり映画を見たりしながら、正気を保ちながらやっております。
今回は、めったに体験できない体験ということで済ませることができそうですが、今後もずっとこの隔離政策が続くとなると、物理的にも気持ち的にも自由な日中間の渡航ができなくなってしまうので、本当に困りますね。一日も早く正常な渡航ができるようになってほしいと思うところです。
(9月26日更新)
中国外交部及び国家移民管理局は、9月23日に、9月28日0時から、中国の商務(工作)、私人事務及び家族訪問の有効
したがって、3月に効力を停止された外国人の居留許可が、その効力を回復したものといえます。他方、効力を停止され、その後期限が過ぎて失効してしまった居留許可についてもビザセンターに資料提出をすればビザを取得できる旨が言及されていますが、具体的な内容については今のところまだ明確にはされていません。
また、中国への渡航に際し、集中隔離を受けなければならないという政策や、中国行きの飛行機に搭乗するにあたってPCR検査陰性証明を取得しなければならないといった政策は引き続き維持されていますので、この点は注意が必要です。