中国法ブログ

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中国から日本への渡航、そして隔離(東京編)

2020年9月に日本から中国に帰国し、以前のエントリーでは大連までの道のりと大連での隔離生活の様子をご報告しました。

chinalaw.hatenablog.com

そして今回、年末を家族と過ごすべく、常駐先の上海から日本に一時帰国しました。12月28日より外国人一律の日本入国禁止措置が講じられるということもあり、水際措置の変わり目に帰国したことになります。今回は上海から日本に帰国するまでの様子をご紹介し、これから中国から日本に帰国される方のご参考にしてもらえればと思います。なお、今回の帰国は11月30日からスタートした日中間ビジネストラック、レジデンストラックは利用しない通常の帰国になります。

1 浦東空港(出国)

1-1 健康報告

1-1-1 中国税

自宅からタクシーに乗り、約3か月ぶりの浦東空港ターミナル2に到着。全日空のチェックインカウンターへ向かうと思いのほか長蛇の列(写真を取り損ねました)。チェックインの際にスタッフに聞いたところ、本日の全日空のフライトは乗客率はほぼ100%とのこと。

また、思いのほか中国の方の数も少なくありませんでした。これも聞いたところ、ビジネスの方以外に、留学、そして日本居住者の再入国が多いとのことでした。

さて、チェックインを済ませると出国審査をすることになりますが、現在は日本から中国に来る時と同じように、予め中国税関への健康申告をすることが必要となります。QRコードがそこらじゅうに貼ってありますので、それを読み込んで関連情報を入力し、QRコード(健康二维码)を取得し、スクリーンショット保存しておきます。

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事前に自主的にPCR検査を行い、陰性でしたが間違って陽性にチェックしてしまいました。

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健康QRコード

出国審査に入るゲートの手前に、上記の健康QRコードを提示する場所があります。

筆者は、出発3日前に上海のローカル病院で念のためPCR検査を受け陰性でしたが、健康申告にあたって、「結果は陽性でしたか」という質問に対して「是(Yes)」とチェックしてしまいました。その結果、出国審査前に上記QRコードを提示した際に、職員から「陽性だったんですか?」と止められてしまいました。

陰性でしたと説明したところ、健康申告の情報を修正し、改めてQRコードを取得した上で中に進むことができました。

1-1-2 日本厚労省 

国税関への健康報告のほか、今回は厚労省向けの健康報告を予め行うことが必要でした。こちらは出国審査の前でも後でも大丈夫で、私も含め、殆どの人が搭乗ゲートの周りのベンチに座りながら入力していました。

生年月日や日本での滞在先、過去14日の滞在歴など、中国税関向けの健康報告と殆ど同じような内容を入力し、こちらもQRコードを取得します。

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 こちらのQRコードは飛行機への搭乗時及び日本到着時に提示します。

1-2 出国審査通過後

ANAのチェックインカウンターこそ人がいっぱいでしたが、浦東空港ターミナル2の中はがらんとしており、およそ平常時の様子ではありませんでした。

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浦東ターミナル2から出発する便もわずかのみ

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免税店もほとんどゲストは見られない

2 浦東空港⇒成田空港

搭乗したNH920便は、元々13時05分出発の予定でしたが、機内の消毒作業のため13時05分搭乗開始、13時30分出発に。機内は言われていたとおりほぼほぼ満席でした。

ちなみに、日本から大連へ飛ぶ際に搭乗したJAL便の機内食は簡易なランチボックス形式でしたが、今回上海から成田へ飛ぶANA機内食は通常の機内食でした。ただ、これは何もJALがしょぼいという話ではなく、中国行きの機内食については中国政府からのオーダー、すなわち機内でなるべくマスクを外して食事をする環境と時間を作らせるな、という要請が出されているため、やむなく簡易なランチボックスを提供しているのだそうです。なお、一時大連でコロナの感染が拡大した際には、ランチボックスすら提供不可で飴玉しか出せなかったこともあるそうです。

フライト時間約2時間15分、日本時間の16時35分頃には成田に到着しました。

3 成田空港

成田空港に着陸した後、検疫所が混雑しているということで機内にて20分ほど待機する形となりました。そして、その後機内の乗客を3グループ(約60人ごと)に分けて降りてくださいというアナウンスがあり、順次飛行機を降りることに。

飛行機を降りると、検疫所に向かうことになります。

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検疫所に続く行列

その途中で「健康カード」を提示する場所があります。健康カードは機内で渡されるA4のペライチの紙で、自主隔離期間(滞在期間)と自主隔離場所(待機場所)を記入する箇所があります。機内で記入しても良いですし、健康カード提示場所にいる職員に記入してもらうことでも構いません。

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健康カード

記入した健康カード、QRコードとパスポートの3点を準備して、検疫ブースに向かいます。検疫ブースでは、上記の3点を提示し、改めて滞在先と滞在先までの移動手段について口頭で質問されます。特に問題がなければ青い紙を渡されて、検疫ブースでの手続は終わりです。

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個人的には、この後にPCR検査をやるものと思っていましたが、案内された順路にしたがって進んでいくとなんともう入国審査ブース。しかも、日本人は普通に顔認証レーンで通過して良いということで、上記の青紙を入国審査官に見せることもなく、入国。

そして、荷物をピックアップ。荷物は職員が予めずらりと並べてくれていました。

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ずらりと並べられた荷物達

荷物をピックアップすると、次は最後の税関申告です。

 

「あれ、PCR検査は?税関通ったあと?」

 

などとざわつく気持ちを抑えつつ、税関申告を行いゲートを出ると、そこは空港の出迎えエリアでした。

というわけで、

まさかのPCR検査なしの入国!!

が完了してしまいました。

入国者は公共交通機関に乗らないでとは言われていますが、見たところ特に入国者かどうかが本当に確認されているのかはよく分かりませんでした。

また、入国者の位置情報をトレースするためのアプリ等のインストールも特に求められていませんし、入国後の位置情報は多分ですが、特段把握のしようがないのではないかと思います(どっかでトレースされているのかもしれませんが…)。一応、QRコードを取得する際に、所在を確認するために連絡することがあるとして連絡先(電話番号、メールアドレス)を伝えているので、連絡が来るのかもしれませんが、電話やメールでは何とでも言えてしまうのであまり意味はなさそうです。

中国での厳しい入国を3か月前に経験した身としてはあまりのガバガバっぷりに帰国早々大きな衝撃を受けてしまいました。

報道を見ている限り、少なくともイギリスからの帰国者についてはPCR検査を行っているように思いますが、なぜ今回中国からの入国にあたってPCR検査なく入国できてしまったのかは非常に謎です(もしかすると、コロナ感染の疑いがある人についてはPCR検査受けていたのでしょうか…)。

現在中国から日本に渡航する際には、PCR検査の結果が陰性であることの証明等も特に求められていませんので、要するに自己申告だけで検査なく中国から200人あまりの人を入国させてしまっているということになります(逆に、日本から中国に渡航するにあたっては現在、搭乗2日以内のPCR検査の陰性と抗体検査の陰性のダブル陰性であることが必要とされています)。

他の国や地域からの入国者については異なるのかどうか分かりませんが、何にせよ水際対策としては非常に問題なのではないかと思わされました。